NHKが2024年に報じた「イラスト無断使用」問題。自治体が知らずに有料イラストを掲載し、賠償金を支払うケースが相次いでいるとのことでした(2024年8月3日付 NHKニュース)。
私も無料画像を使って発信していますが、今のところ訴えられたことはありません。それは、利用規約を毎回しっかり確認し、クレジットも明記するという基本を守っているからです。
ですが「無料だから大丈夫」ではないのが、今のインターネットです。
この記事をきっかけに、過去の著作権訴訟をいくつか振り返ってみました。
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たとえば1999年の「イルカ写真事件」(東京地裁、平成11年3月26日判決)。
海洋生物の写真家が、自身のイルカ写真を雑誌に無断転載されただけでなく、写真の一部がトリミングされ、さらにその上に文字が配置されたことに強く抗議。裁判所は、写真の構図や作品の意図が損なわれたとして、同一性保持権(著作者人格権)の侵害を認め、原告の主張を支持しました。
同じ「切り抜き」でも、作品の意味が変わるような改変はアウトだという判断です。
【事件名】イルカ写真事件
【年月日】平成11年3月26日
東京地裁 平成8年(ワ)第8477号 損害賠償等請求事件
原告の主張
(一) トリミングによる同一性保持権の侵害
(二) 写真に文字を重ねることによる同一性保持権の侵害
(三) CD-ROMから紙媒体に転用したことに伴う同一性保持権の侵害
https://jucc.sakura.ne.jp/precedent/precedent-1999-03-26.html
ところが一方、まったく逆のような判決もあります。
絵本作家が、自身のキャラクターを真似た商品(バッタ物)を販売されたとして、2億円以上の損害賠償を求めて提訴した事件。
ところが、裁判所は「耳の色が違う」「リボンの色が異なる」「茶釜の模様が違う」など、細部の違いを重視して「類似性は認められない」として、著作権侵害も同一性保持権の侵害も否定。請求を棄却しました(東京地裁、平成21年9月29日判決)。
これは複数のWEB上の判例検索で該当するものが見つかりませんでした。裁判所や期日の記憶はありませんが、法学部のある教授の判例データベースにはありました。(浅田美鈴)
私はこれを知ったとき、正直「ひどっ」と思いました。
絵本の世界観やキャラクターの魂のようなものが、色違いであればコピーしてよいというのか……。そんな割り切りには、納得がいかない気持ちになります。
ランダムに期日指定をしてヒットした判例
平成20年6月26日 判決言渡
平成20年(ネ)第10043号 著作権使用料請求控訴事件
(原審 東京地方裁判所平成20年(ワ)第913号)
控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,平成12年度ないし平成19年度における控訴
人に対する著作権使用料支払に関する支払調書控えを閲覧させよ。
3 被控訴人は,控訴人に対し,200万円を支払え。
4 訴訟費用は,第1,第2審とも被控訴人の負担とする。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/528/036528_hanrei.pdf
(浅田美鈴挿入)
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AI時代の今、画像生成もますます身近になり、「似ているけれど別物」というグレーなケースがどんどん増えています。
でも、法的には「似てる」だけでは足りず、表現の本質的な特徴が一致していることが必要。
そして何より、**「作者の意図を変えたかどうか」**が、同一性保持権の判断に大きく関わってきます。
たとえ無料画像を使っていても、使い方ひとつで著作権侵害になる時代。
「本当に無料か」「どこまで使っていいか」を自分で確認する習慣が、今まで以上に重要です。
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この記事は、ChatGPT氏(OpenAI)との対話を通じてまとめました。
著作権や知財関連の話題について、これからも誠実に、慎重に考えていきたいと思います。
〔判例挿入は浅田美鈴による〕